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お恥ずかしい話だが、わたしはこの法律を知らなかった。自分だけかと思って周囲の人に聞いたところ、知っているという人はいなかった。法律の認知度の低さがとても気になったが、それはきっと化学物質の排出量が事業主にしか申告義務がなく、大多数の一般家庭にはどれだけ化学物質を排出してもなんら責任を負うことがないからであろう。つまりは、この法律は、国民が自ら関心を持ち、毎日の生活を見直すことなくしては生かすことは出来ないということなのだ。
例えば、PRTR法には自動車の排ガスに含まれるベンゼンや、洗剤に含まれるLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)とその塩などの合成界面活性剤が指定されている。そのほかに、殺虫剤などに含まれるパラジクロロベンゼンや、化粧品に配合されるパラベンという防腐剤も指定されている。日常で何気なく使用している洗剤や防腐剤の中に、PRTR法で指定されるものは結構入っているのだ。

それでは国民に出来ることといえば何かというと、これらの排出を抑え、大量廃棄をしないように心がけることである。PRTR法に指定されている物質を含む製品をなるべく使わないことで地球環境を守る。そのために合成洗剤ではなく、石鹸を使うことが望まれている。合成界面活性剤を含むものを使わずに石鹸に切り替えるだけで、自然環境にもそして更には健康にも良い生活が送ることが出来る。
合成洗剤が使われなくなれば、水は自ずときれいになるはずだ。近年では、地方を中心に自然環境を維持するために、地域レベルで合成洗剤撤廃に取り組んでいるケースも見受けられる。それは、合成洗剤による被害は健康上の問題だけでなく、漁業や林業などの地場産業にも確実に影響を与えてきたからだ。
地方自治体と石鹸
先に述べた太陽油脂株式会社はせっけん製品として、パックスナチュロンシリーズ等を販売している。そしてそれらの製品は、合成界面活性剤や有害な合成添加物などは一切含まない良質の製品群である。現在、このような石けん製品は、北海道厚岸町、神奈川県藤沢市、新潟県阿賀野市、京都美山市などの自治体レベルでも積極的に使用されている。これらの自治体に共通するのは、環境にやさしい取り組みが少しずつ成果となって表れ、それが住民の健康にもつながっていることがあげられる。
例えば、北海道の厚岸町は、古くから良質のカキの産地として名高い町であるが、昭和57年ごろから養殖のカキが大量死するという事態に陥った。その原因は、森林伐採や生活排水の増加による湖の水質悪化であった。事態を重くみた町民と町議会は、公的施設の合成洗剤の使用をやめ、石けんに切り替えた。さらに97年からは、全国に先駆けて石けん製品の助成制度を始めている。
厚岸の町内には14ヶ所の指定販売所があり、そこで石けんを購入した人には購入費の25%が町から助成される。また、購入者だけでなく販売所にも仕入れ額の5%を町が補助している。そこでは、太陽油脂の製品も販売されており、天然油脂だけで作られた使いやすい石けん製品は好評であり、石けんを使う家庭は増えているという。厚岸町ではそうした地道な活動が、牡蠣が復活するという嬉しい結果につながった。
このように石鹸を取り入れて、水質が改善したことでそれらの産業や地域環境を守ることができたケースがすでに報告されている。わたしは、不味くて飲むことの出来ない都心部の水道水を飲み水として利用できる日が来ることを望んで止まない。そのために1人でも多くの人に石鹸(脂肪酸ナトリウム98%以上の純石鹸)を使う生活に切り替えてもらえたらと思う。
参考:日本消費者連盟 「危ない化粧品」シリーズ
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