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日本には、全国に町内会(町会)というものがあり、様々な活動をしています。法的には加入義務のない参加任意の団体のはずですが、市町村等の行政の配布物を各戸に廻したり、廃品の分別回収を担当したり、まるで行政の下部機関のようになっています。
住民の中には、「実質的に強制参加ではないか」、とか、「本来行政のやるべき仕事ではないか」という批判の声も聞かれます。また、田舎の方では高齢化が進み、同じ人が何年も役員を担当するなど、負担が日増しに重くなっており、このままでは持続不可能ではないか、という意見もあるようです。
一方で、都市部から田舎に引っ越した人には、「未だに隣組があるのか!」と驚く方も多いようで、冠婚葬祭にまつわる濃密なお付き合いに閉口する人も、相変わらず少なくないようです。
そんな折、カナダ在住の知人から、「町内会を積極的に行っている地域があり、若い人も積極的に参加している」という話を耳にし、若者が積極的に参加する町内会とはどんなものなのだろう?そもそも、世界にはどこでも町内会があるのだろうか?町内会がない国があるのだろうか?という疑問を解消するために、メンバーに以下のような質問ペーパーを配布して、質問してみました。
(1)町内会(村、自治会、管理組合、自治体等)の仕組み
1)構成員の人数、参加単位、組織図役員の選出方法、意思決定方法、会費、予算規模、歴史など
2)活動の内容、参加頻度、年齢の分布(若者?お年寄り?)、外国人は参加するのか、旧新住民の関係(マンション住人は?)、など
(2)行政との関係、役割分担など
(3)十分機能していると言えるか?
(4)参加する面白さ・遣り甲斐はあるか?むしろ義務感?
(5)問題点・課題
(6)町内会が存在しない地域があるか?支障は無いか?
(7)お寺の檀家、町おこし団体など、近接する類似団体との関係、分担、
回答は、欧米8カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、デンマーク、フランス、フィンランド、トルコ)、アジア7カ国(インド、インドネシア、オーストラリア、フィリピン、ラオス、台湾、韓国、日本)、中東1カ国(レバノン)、アフリカ1カ国(ケニア)の計17カ国から集まりました。
集まった事例を大まかに分類すると、「世界の町内会」は次の3つのタイプに分類できるようです。
1. 町内会に類似した組織が、行政機関の一部として全国に存在する国。
これは、インドネシア、フィリピン、中国、台湾など、アジアの発展している途上国に多いようです。日本の町内会は、参加任意の団体であるはずですが、行政的な要素が強いために、強いて分類すれば、ここに入りそうです。韓国も同様です。
2.町内会は存在しないが、親睦会や自助グループのようなものはある国。
ケニア、インド、レバノン、ラオスなど、発展の遅れた途上国に多いようです。これらの国では行政が十分に機能していないために、血縁関係のグループや宗教団体などが中心になって、互助的な組織を形作るようです。
3.アパートメントや集合分譲住宅(タウンハウス、コンドミニウム等)などを中心に自発的な団体が形成される国。
「町内会は本当に必要なのか?」と常々疑問に感じている方には朗報です。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、デンマーク、フランス、フィンランドのメンバーから寄せられた回答を見る限りでは、欧米の先進国には、全住民が参加する町内会のようなものは存在しないのが普通のようです。
ただし、アパートや集合分譲住宅には所有者を中心とした住民組織が存在します。また、アメリカやカナダでは、場所によっては自発的な町内団体があって、そのような団体の中には、若い人を含めて活発に活動している団体もあるようです。
また、グループ1の国にも、グループ2のようなマンションの管理組合が存在しますし、親睦会や自助グループは、どの国にも存在します。完全に分類できるわけではありません。
日本の町内会は世界的に珍しい仕組み
世界のメンバーから回答を集めて分ったのは、日本のように、法的には参加任意の団体であるはずが、実際には強制的・行政的な要素が強いという制度を持つ国は、実は世界では非常に稀なケースで、日本の他には韓国くらいしかないようなのです。
日本は、極東の後発地域において先進国の仲間入りした珍しいケースですので、特殊性があるのでしょうか?欧米先進国の方法は、日本の将来に参考になるでしょうか?
次回から、三つの類型について詳しく見ていきます。
Vol.2 町内会とは何だろう?
Vol.3 途上国における町内会
Vol.4 町内会のない国
Vol.5 町内会に少し似た活動
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