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都市農地を活用する試み(2)-こだいら菜の花プロジェクト
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| 2009-03-26 |
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「こだいら菜の花プロジェクト」
菜の花を栽培する場所は、閑静な住宅地にある畑の一画、約15aの土地。都議会議員をしている農家が、忙しくて活用出来ていなかった農地を快く提供してくれた。
開始にあたっては、環境の会のみに留まらず、広く市民にも呼びかけて新しい団体「こだいら菜の花プロジェクト」が作られた。こうして2007年の10月、市民と農家と行政との協働による「こだいら菜の花プロジェクト」がスタートした。
この事業の中で、行政は市民と農家とのコーディネート役だ。農家と市民との間の調整は行なうが、プロジェクトを主体となって進めていくのは市民となる。環境の会には畑に関わってきたメンバーも多い。とは言え、本格的に農業をしてきたわけではなく、多くの人は素人に近い。プロジェクトは試行錯誤を重ねながら進んでいった。
どうなることかと不安もあったが、春にはたくさんのアブラナが開花し、近隣の人々の目を楽しませてくれた。菜タネの収穫後は、菜の花と同じく油が採れるヒマワリが植えられ、こちらも夏にはたくさんの花を咲かせた。15aと言っても、周りを家々に囲まれた畑は意外に広く感じられ、一面に花が咲けば壮観だ。
普段の活動は、施肥、草取り、種の収穫、袋詰め、乾燥、脱穀等と山ほどあるが、栽培の方法について、あれこれ議論したり、収穫後のヒマワリで円盤投げをして遊んだりと、メンバーは毎回楽しく作業をしている。

プロジェクトでは、活動の成果を地域住民に見てもらうため、花の咲く時期に合わせて「オープンデー」を実施した。菜の花やヒマワリが、きれいな花を咲かせる上に、油も採れるということを知って驚いた人も多く、近隣の住民からの反響も大きかったという。農地の所有者も、こうした活動に自分の畑が活用されることを喜んでいる。会の活動を見た農家から、「自分の農地でもやってほしい」という申し出もあり、プロジェクトの場所も一箇所増えた。
都市農地の可能性
2008年9月には小平市のエコフェスティバルに出店して廃食油を回収し、後日その油からBDF(バイオディーゼル燃料)を製造した。元々菜の花プロジェクトには、地域で採れた菜種油を食用にし、その廃油から製造したBDFを地域の交通や農業機械で利用して、資源の循環を図ろうという目的があった。
しかしプロジェクトで生産した菜種油は約60kg。小平市の燃料や食用油の需要を賄うにはとても足りない。さらに、菜種油は香りがよく、味も濃厚でおいしい。皆残さずに食べてしまうため、廃食油は集まらず、回収したのはほとんどが通常の家庭の油だったという。中には賞味期限が数ヶ月切れた程度のお中元にもらった油なども含まれていたそうだ。廃食油にしてしまう前に使いたい人もたくさんいるだろう。
面積の小さい都市農地で菜の花を作っても、完全な資源循環のシステムを作ったり、自給率の向上に貢献したりするのは難しいだろう。しかし「環境を考えるとっかかりにはなる」と菜の花プロジェクト代表の馬場さんは言う。当面は、生活のあり方を考えてもらったり、都市農地の大切さを知ってもらったりするための啓蒙的な効果への期待の方が大きい。
ただ、周辺の住民も菜の花やヒマワリの美しさに目を惹かれ、興味は持ってくれるものの、自分も活動に参加してみようとまで思う人は少ない。傍観しているところから自分から主体的に動くまでには高い階段があるようだ。「その一歩を超えるのが難しいんです」と馬場さん。
現在は菜の花畑として活用されているこの農地だが、いつまでも安泰というわけではない。馬場さんは「都市の農地はいずれ消えるものと言う扱い。法律が変わらないと農地を残すのは難しいのでは」と言う。
相続の問題が発生すれば、後継者のいない畑は消えて行く運命にある。行政による買い上げという手段もあるのだが、そんなお金のある自治体は少ない。次回はこうした困難な状況の中で緑地や農地が守られた例として「倉沢里山を愛する会」を紹介する。
都市農地を活用する試み(3)-倉沢里山の会
都市農地を活用する試み(1)-東久留米市一歩の会
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