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ナバホ・ピースメイキングの基本理念
第1話では大まかな概要を述べたので、今回はステップ1のナバホ・ピースメイキングの基本理念について話していきたい。
“ピースメイキングの基本理念とは何か?”と考えるとき、私の心の中にはいつも、ナバホ父の存在が浮かぶ。父はとても寛大な人だ。ケチな部分がまったく見当たらない。自分の持っている知識を惜しみなく周囲の人に分かち合い、それを真の喜びとしているからだ。
父が常日頃よく言っている言葉がある。「知識は力になる。知識はヒーリングになる」と。そして「知識は分け与えなければいけない。自分の中で独り占めしていては、何も生まれない。知識を分かち合うことによって初めて、互いに癒し合い、助け合うことができる」と。これはまさに、ピースメイキングの基本理念を総括していると言える。
それでは、父の言っている知識とはどんなものなのかを説明していきたい。
まず、私達は誰でも、幸せになりたい、幸せな状態を維持していきたいという願望を持っているのだと知ること。困難な状態にいる人であれば、それを克服して癒したいと願う。これらは私達人間に共通する願望だ。願望があるからこそ、私たちはもがき、苦しむ。
次に、物事にはすべて相反する2面性が存在するということを知ること。宇宙/大地、男性/女性、父親/母親、右/左、戦争/平和など、挙げていけばきりがないが、どれが欠けてもいけない。物事を進展させるため、私達が成長していくためには、これらの相反する2つの力の両方が必要だ。調和と困難ということにも当てはまる。
困難なこと(ネガティブな力)は、調和(ポジティブな力)を確立するため、あるいは現状の調和をさらに向上させるための大切なステップだ。これを知っているか知らないかでは、大きく異なる。困難なことが起こったときにそれを真っ向から否定するのではなく、そこから貴重な経験を積み、学びを得れば良いと分かるからだ。
さらに、ナバホ神話からの教えを知ること。
ナバホ神話によると、ナバホの祖先は現在の世界に至るまでに、4つの世界を経てきているとされている。
第1の世界は黒の世界(混乱と秩序)。第2の世界は青の世界(思考錯誤)。第3の世界は黄色の世界(知恵)。第4の世界は白の世界(実行、結果)。
例えば、頭の中で何か計画を練っているとしよう。それはまだはっきりとした形をとっていない。つまり混乱と秩序という相反する2つの要素が入り混じった状態だ。これが黒のステップである。
そこから次のステップ、つまり青のステップへと進む。自分の頭の中だけで存在していたアイデアを口に出して誰かに話してみたり、実際に行動を起こしてみたりして、試行錯誤を繰り返す。口に出して話してみる、行動してみることによって、何らかの反応が戻ってくる。そのアイデアはさらに次のステップに進むかもしれないし、反対に再度第1のステップ(頭の中で計画を練るステップ)に戻らなければならないこともあるだろう。
次に3つめのステップ、黄色のステップは知恵のステップに進む。第2のステップ(試行錯誤)から得た経験や知恵を生かして、方向性を見直す。
そして最後は、白のステップ。そのアイデアが実行され結果を得る。その結果がポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、貴重な経験となって残る。この経験を元にまた新しいアイデアが生まれ、この4つのステップを新しく始めるきっかけとなる。
そんな風にして、私達は人生の中で何度も何度もこの4つのステップを繰り返しながら、成長していく。
さらに、ナバホ神話はこんなことも教えている。それぞれの世界では、ステージごとにリーダーが異なる。ある場面ではマウンテンライオンがリーダーとなり、みんなを導き救い出す。またある場面ではセミがリーダーとなり、みんなを導き救い出す。つまり、リーダーはTPO(時、場所、場合)によってそれぞれ異なり、他のみんなは良きサブリーダーやサポーターとしての役割を務める。
“どんな人にも特有のギフト(才能)が備わっている。だから誰が欠けてもいけない。みんなそれぞれ貴重な存在なのだ”と神話は教えてくれている。ピースメイキングのセッションでは、参加者全員に発言権があり、参加者は単なる傍観者であってはいけないとされているのだが、それはこの教えに基づいている。
父はピースメイキングセッションを始める前、必ずこの話を当事者、参加者と共有する。私の経験上、これは非常に効果がある。
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