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「“持続的な”バイオプラスチックは環境に損傷を与える」
今後さらに発展しそうな生分解性プラスチックですが、問題も指摘する声もありました。イギリスのメンバーが、ガーディアン紙が今年4月に掲載した「“持続的な”バイオプラスチックは環境に損傷を与える」という記事を紹介してくれました。最も大きい問題は、世界的な食料不足の時代に、穀物由来の原料を包装材に使用することの是非です。市場の成長率は年20~30%とのことで、食料不足に拍車をかけていることは間違いないでしょう。
さらに、遺伝子組み換え作物を原料とするバイオプラスチックの急増です。ガーディアンに拠れば、アメリカのネイチャー・ワークス社が製造するPlaという製品は、既存のペットボトルと見分けがつかないのですが、遺伝子組み換えトウモロコシを使用して作られているそうです。
現在ウォールマートや、マクドナルドなどで利用されていて、マーク&スペンサーでは、「有機食品の包装材として、この遺伝子組み換えトウモロコシ使用のバイオプラスチックが利用されている」、と書かれています。しかも、フランスのメンバーからの報告にありましたが、現在の生分解性プラスチック認証には、遺伝子組み換え作物を原料として使用した場合の記載義務がないのです。
もう一つの大きな問題は、埋め立てられたバイオプラスチックが分解される際に、二酸化炭素の23倍強力な温室効果ガスであるメタンガスがかなり発生させることだそうです。また、リサイクル企業にとっても、原料として販売できないバイオプラスチックは、回収するメリットが無い上に、下手をすると分別コストが増えるというデメリットしかないために批判的で、前途多難といった感じです。記事によれば、イギリスでは一旦は導入したバイオプラスチックの使用を取りやめる企業も出始めているようです。
そんな折、先日(2007年7月)、筆者がJRの特急電車でお弁当を購入したところ、生分解性プラスチックの袋を渡されました。グリープラ認証はついていませんでしたが、日本でも生分解性プラスチックが急速に普及する気配が見えます。弁当のゴミなどは焼却されるケースが多いはずなので、ここでは分解性ではなく、焼却の際にカーボンニュートラルであることや、最近の原油価格の高騰が選択の理由でしょう。
しかし、ガーディアンの記事で指摘されるように、食料不足の問題や、遺伝子組み換え作物の問題を考えると、手放しで評価できることではないような気がします。これと似た問題として、パームオイル由来のバイオディーゼル燃料の増大が熱帯雨林の消失に拍車をかけ、逆にCO2を増加させていることを別のレポートで報告しました。
大量にごみを出す消費社会から、ゴミの少ない循環型の社会へ移行する。その大きな流れを前提として、その中で生分解性プラスチックやバイオプラスチックの適切な活用法について考える必要があるような気がします。
ガーディアンが挙げたネーチャー・ワークスの親会社は、穀物メジャーのカーギルとプラスチックメジャーの帝人です。彼らの発想が、大量消費社会に新しい商品を投入しただけでないかどうか、よく見ておく必要がありそうです。
「陶器のリサイクル」
さて、冒頭でメンバーが教えてくれたもう一つの試みは、バイオプラスチックではなく、陶器のリユースと、再生土利用陶器によるリサイクルとを組み合わせた、新しい陶器の流通システム構築の試みでした。
One Dish Aid
http://onedish.net/
環境に配慮された再生陶器=OneDishAid菓子容器を開発し、デポジット制と容器回収まで導入する容器循環エコシステムをつくり、それを流通にのせ陶磁器の循環型社会を広める運動をしている団体。
また、別のメンバーからは、数年前から、水筒を持ち歩くのが「お洒落」という感覚が10代から20代の女性の間に生まれ、水筒を持つ人を見かけることが多くなったという報告がありました。「なまけもの倶楽部」というNGOが、エクアドルの女性グループと協力して作ったサイザル麻の水筒ホルダーが人気となったことも追い風となったそうです。
もともと、今回の共同リサーチの発端も、スタバ系のコーヒーショップで、以前から「もったいない」と思っていた紙コップの代わりに、お洒落な「トラベルマグ」が便利、というメンバー同士の会話でした。最近では、東京の街やスタバなどでもトラベルマグを使用している人を見かけるようになりました。
「もったいない」という気持ちは誰でも感じているものだと思います。その気持ちを素直に行動に移せるように、気持ちをプッシュしてくれるデザイナーたちの活動に、これからも期待したいところです。
Vol.1 「世界のもったいないもの」
Vol.2 食べ残しの持ち帰りがダメだって!?
Vol.3 カーシェアリング・カープーリングとは?
Vol.5 コミュニティガーデンという試み
Vol.6 「もったいない」と文化~小さな自然を守るために~
Vol.7 家具や電化製品の交換(リユース)の仕組み
Vol.8 商品カタログ、ドレッシング
Vol.9 知識の伝承/価値とメディア
Vol.10 世界から消えゆく商店街
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