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二章 農業を応援してくれる人たち
農業・農村の活性化に携わろうとするならば、一時的な活動はあまり意味がないと感じていた。その役目を終えるときまで社会的責任を持って活動を続けられる体制にするために、ボランティアサークルではなく、法人化することにした。法人化の際には、利潤追求型ではなく問題解決型のビジネスとして学生耕作隊を位置づけたい、という想いから、NPO法人(特定非営利活動法人)という形態を選んだ。
NPO法人は制度上、設立の際に資本金を必要としない。しかし、初期投資のため、100万円を目標に資金を集めることにした。しかし、当時の貧乏学生の貯金だけでは当然そのような金額を出すことはできず、賛助会費として学生耕作隊の趣旨に賛同してくださる方々から出資を募ることにした。
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2002年3月、山口県でコミュニティビジネス入門というイベントが山口県と山口チャレンジセンター主催で開催された。私は、そのイベントの第2部「公開起業オークション」に出場させていただいた。
公開起業オークションは、出場者が5分間のプレゼンで自分の夢を話し、それに対して共感した来場者からヒト・モノ・カネの3つの側面で出資を受けるというものである。ちなみに、出場するときに目標金額を設定し、目標に達しなければ、集まった出資は没収されると言う厳しい面もある。
当日は学生、主婦、サラリーマン、個人投資家など様々な市民が300人集まった。プレゼンの後の質問タイムで、来場者から「あなたは大学を卒業したら学生耕作隊をどうするつもりなの」という質問を受けた。私は、それに対して「学生耕作隊と心中します!そのつもりでこの事業を継続させます!」と思わず言ってしまったことを覚えている。
ちょっと言いすぎたかもしれない、と思いつつも、結局、その「心中」という言葉で、私の本気度、覚悟が来場者に伝わり、120万円以上の出資金、困ったときはいつでも言って!というボランティアの申し出、農機具・堆肥提供の申し出を受けた。本当にありがたいことだった。この体験は、私が落ち込んでいる時、背中を押してくれる出来事の大きな1つである。
農業支援の有償活動に参加した学生たちは、ほとんどが作業そのものを楽しんでいる。自然に囲まれての仕事、作業そのものは、農家とのふれあいは、彼らにとって純粋に楽しいようである。また、時間がたつにつれ、作物が生長していくのを実感することは、彼らにとって感動を呼び、喜びとなっている。
「あの時はあんなに小さかったのに、しばらく見ない間にしっかり育ってくれている!」と、感動しながら、作物1つ1つにいのちが宿っていることを彼らは学び、また愛着を持つようである。時にはしんどい作業に当ることもある。彼らは、「今日はしんどかった!」と言いながら、農業の楽しさだけでなく、農家の大変さも学んでいる。そうやって彼らは農業への理解を深め、生産者とよい関係を作れる消費者になってくれるのだろう。さらには、農業後継者への道を歩むものも出てくるに違いない。(つづく)
近藤紀子/NPO法人学生耕作隊理事長
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