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NPO法人学生耕作隊の軌跡、そしてこれから ~学生ベンチャーを農業で~(4)

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近藤紀子
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2005-06-12
 

四章 何を成しえたのか?

 1年目と2年目は、年間のべ約1,000人近くの学生を農村の現場に送り込んだ。彼らは農業を体験することで、農業への理解を深めている。そして、過疎・高齢化による農村地域の農繁期の人手不足を解決してくれている。

 2年目には、市民ベンチャーモデル事業として経済産業省の委託事業に公募し、300件以上の応募から採択16件の1つに選ばれた。それを機に、援農する側の対象を学生だけでなく、シニア層にも広げ、学生による支援が不十分だった平日などの農家からの依頼にも応えられるようになった。

 その結果、3年目は、年間のべ約2,000人近くの学生・シニア耕作隊が、人手不足の農家の農作業支援に出向いている。4月から10月まで、農家からの依頼はひっきりなしで追いつかないほどだ。今年は冬場の作業の依頼も入ってきている。

 尚、学生耕作隊は、無償のボランティアではない。継続的な支援活動を行うために、有償で活動することがポリシーだ。農作業を手伝った見返りとして、お金や作物や地域通貨「耕作シティ」を学生・シニアは受け取る。

 学生耕作隊は、農作業の支援事業だけでなく、農地保全事業も手がける。管理放棄され、荒廃する農地を、農地としての保全を目的に管理するのだ。現在は西日本有数の茶産地である山口県宇部市小野のお茶園67アールを管理している。まだ完璧に管理ができているわけではないが、それでも3年間、茶園として管理し、維持することができた。

 このようにして、農村地域の問題解決を行うだけでなく、学生への農業体験の提供・農業理解の促進、シニアの方々への生きがいの提供・農業理解を進めることができた。学生耕作隊で農作業を体験したことをきっかけに、就農(農業生産法人への就業)を内定させた学生もいる。面接の場には、私も立ち合わせていただいた。学生耕作隊の目的に、後継者の掘り起こしということがある。その目的が初めて実った瞬間だった。

  五章 これから

 学生耕作隊は、農業の分野でチャレンジしていく人たちを掘り起こし、応援したいと思っている。学生、シニアはもちろん、次は子育て中のお母さん方も巻き込みたいと思っている。

 田んぼや畑で子どもの世話をしながら農作業に携わり、収入も得ていく。そうすることで、子どもの健全な成長を促し、母親のストレスを解消し、楽しんでもらい、農業理解を深め、農家に対して理解ある消費者になっていただきたい。さらに、現金収入があることも魅力だ。そんな子育て耕作隊も展開していきたい。

 また、加工品の企画・開発・販売も手がけていきたいと考えている。こだわりのある、学生耕作隊でしかできない商品が、農家の方々と協力し、消費者の方々と協力し、それらをチャレンジ精神旺盛な学生や若者がアレンジすることで、きっとできると考えている。

 そして、この学生耕作隊という、学生や消費者の方々による農業支援の取組を、若者の雇用機会を創出しながら、できることなら全国に広げていきたいと考えている。(了)

近藤紀子/NPO法人学生耕作隊理事長


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