reports

ソーシャル・ベンチャー

back
prev_btnnext_btn
title

アメリカの女性起業家

- 世界の女性起業家シリーズ Vol.3 -

leader from from
大塚聡
day
2003-07-12
 

 前回は女性の起業家が増えた事実について見たが、女性が企業を興す背景とライフスタイルについて見てみる。

・・・


 どうして、女性が積極的に企業を興したかについてであるが、まず、第一にあげられるのは、女性が自分の働きに対して結果責任を持ちたがっていることである。つまり、大企業で働いていた場合には、ジョブセキュリティーがある反面、ビジネスの面で実績をあげたとしても、それに報われる報酬は得られないことが多く、強いて言うならば何かしらの報奨金と言う意味合い程度のボーナスの場合が多いからだと思われる。

 第二には、女性たちが働くプロセスに直接に関与したいと考えていると言うことである。大企業の中で、命令に従って働くことより、自らが決断し、自主的に働くことを望んでいるのである。これは、40%以上の女性オーナー起業で5年以上にわかるビジネスプランを有していることからもわかる。

 第三には、若干否定的な側面からではあるが、女性が置かれているビジネス環境に起因している。つまり、女性はどちらかと言えば、ジョブセキュリティーが低い仕事についていたのであり、また、新たな昇進が期待しにくい仕事についていたからであると考えられる。


 新たなビジネスチャンスが訪れた場合に、現在の職を辞して、新しいビジネスを興すと言うのは、機会費用・機会収益を考慮した場合、男性に比較して決断がしやすかったと考えられる。また、仕事を辞めて新たにビジネスを興すというのは、男性についてはキャリアアップの断念として捉えられがちであるが、女性には比較的そのような精神的なバリアは低かったものと推察できる。

・・・


 次にライフスタイルであるが、コーン・フェリーインターナショナル(世界的な人材マネージメント会社)が行った広範な女性起業家(425人)に関する調査から女性起業家の素顔に迫ってみたい。

 調査対象の平均年齢は41歳であり、85%が欧州系白人であり、残りがマイノリティーである。そして23%が経営学修士号をもち、そのほかの32%が少なくとも4年生の大学を卒業している。57%は既婚であり、36%が未婚であるか離婚を経験したかであり、7%が同棲中である。約5割の女性が子持ちである。

 現在の役職の前には、平均で5年間他の企業に勤務した経験を持っている。多くの女性は、バイス・プレジデント、ディレクター、マネージャーなどの肩書きを持っていた。37%の女性はハイテク企業に勤務した経験をもち、30%の女性はマーケティング、広告宣伝の企業に勤務した経験を持っている。今までのキャリアの中では、平均で4.5社に勤務した経験を持ち、21%が米国以外での勤務経験を持っている。また、29%が企業を興したのは初めてではないと答えている。

 起業した企業は、3分の2はハイテク企業(およびテクノロジーを駆使した企業)であり、83%はテクノロジーは重要なビジネスツールであると答えている。収入に関しては、企業を興したときには以前勤務していた企業よりも低い収入であるが、ビジネスが順調に行くに従い前の収入を超えるようになる。起業することで満足感ははるかに高まっているようである。大多数の女性はキャリアに関して満足しているとしている。

 平均では週に55時間働いており、以前の職場と比較して勤務時間は減少している。また、収入に関わらず、大多数の女性が現在の仕事に満足していると答えている。仕事以外に関しても、ライフスタイル全体に満足していると答えている。88%が仕事のペースに満足しており、65%が仕事に集中できること答えており、75%がプライベートな生活に関しても満足していると答えている。

 これからどうするのかと言う点については、63%の女性はここ1-2年は現在のビジネスを辞めるつもりはないとしている。では、ビジネスを売却したり、会社を辞めるとしたら何をするのであろうか。26%の女性は新たに会社を興すとしており、22%は新たな起業家グループに参加すると答えている。わずかに5%の女性が企業の従業員に戻ると答えている。また、子供がいる経営者の方が、より多く、現在のビジネスを続けるとしており、もし会社を売却するとしたらと言う質問に対しては、より多くが会社をもう一度興すと答えている

・・・


 簡単に女性起業家の横顔を紹介してきたが、以前とは違って大企業に勤務することが理想ではなくなってきていると言える。革新性と創造性を生かすために、小回りのきく企業を自分で興すという強い意志を持った女性の姿が浮かび上がってきた。また、特筆に価するのは、子供を持った女性が仕事と育児を両立させるために企業を興すという結果である。これもまた、女性のたくましさだと言えるだろう。

 女性の起業家は急増しているのであるが、しかしまだ女性が企業を興すにはハンディキャップがあるといわれる。次回にはその状況を分析してみたい。


1 2

子供たちに本を!~NGO『ラオスのこども』~ 
ラオスのオーガニック市場をリードする『XAO BAN』という会社
カナダの女性起業家 ~世界の女性起業家シリーズvol.4~
オーストラリアの女性起業家 
"女性起業家"とドイツの政策
NPO法人学生耕作隊の軌跡、そしてこれから~学生ベンチャーを農業で~(1)
市民が建てた石鹸工場 (1)~日本の社会起業家:川崎市民石鹸プラント(ワーカーズコレクティブ『サボン草』)~
東ティモールにアクセサリー工房を (1)
託児所 or ベビーシッターで起業するために
ダイバーシティとは - カリフォルニア・ダイバーシティ Vol.1

このエントリーをはてなブックマークに追加





関連ニュース
コメントを見るコメントする
コメント(0)

クリエイティブ・コモンズ メンバー募集 メルマガ 受託型リサーチ レアリゼブックストア サポーター募集 twitter mixi face Flickr