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「平和のための連携」プロジェクトについて
さらにダーボン社は、「平和のための連携」プロジェクトを行っている。これはダーボン社の農場周辺の小規模農家の収入向上を目指して始めたもので、ECOCERTからも高く評価されている。
ダーボン社によると、プロジェクト開始当時、農民たちは米を作っていたが、精米企業から借金をして機械を購入するよう強いられるなど、隷属的な地位にあった。時には民兵に強制されてコカインを作らされることもあった。
ダーボン社は、まず、農民の土地所有権の取得を助けた。コロンビアでは、土地開発のための費用の80%までを、政府がローンで支給する制度があるが、融資の条件は、土地の所有権を持つことだった。3年以上住んでいると所有権を譲渡される制度があったので、農民達には所有権があったのだが、証明する書類がなく、知識もなかったため、農民達には所有の必要性が分からずに、放置されていた。
コロンビアの土地制度は非常に混乱していて、90年代に土地の再配分が進められたが、政府の方でも積極的に所有権の証明を勧めなかった。そこでダーボン社が彼らを助けて、所有権取得の手続を行い、さらに土地開発費用に必要な残りの20%を、ダーボン社のアルベルト社長が個人で融資したという。
現在、小規模農家は、三つの生産者組合に分かれ、一つが200~230世帯で構成される。1世帯が5ha~10haの農園を所有している。農民たちには、融資だけでなく、品質管理、有機肥料の作り方、入れ方、管理のノウハウを教えている。
オイルパーム(アブラヤシ)買取りの際に、他の会社では、農民の持ち寄る品質がバラバラであるため、その都度、価格交渉が必要で、工場側の優越的な地位の濫用や、価格決定が透明性に欠ける問題がある。品質基準も曖昧で、品質が悪いと言われても、農民はどうすれば改善できるのかも分からないままだった。
ダーボン社では、価格はマレーシア市場で決める国際価格に従い、透明性を目指している。農民が受け取り場所に持ってきたものは、少量でも、毎回分量が異なっても、条件を変えずに買い取る。これは、日頃、品質管理の指導を行っているために、品質にばらつきがないためだ。
さらに小規模農場が生産するオイルパームは、15年間契約で、ダーボン社がすべて買い取っている。長期契約なので、農民たちは計画が立てやすいという。パームオイルは、年中取れるので、安定的収入になり、ローンの返済も確実で、暮らしも計画的にできる。プロジェクトから学んだパーム生産に関する技術的なノウハウが確実に根付き、土地所有権等にかかったローンの返済もすすむにつれ、少しずつ小規模農家の自立が進んできているという。
地域社会へのサポート
ダーボン社は、農民たちに対し、パーム生産へのサポートだけではなく、地域社会全体に対するサポートを行っている。アル中、麻薬、DV、子供の虐待などの防止のためのプログラムを実施し、精神的なサポートを行い、生活を安定させることに焦点をあてた。
パーム生産から得る安定収入を得られることで、コカイン生産などの話を持ちかけられても拒絶出来るようになった。以前は、地域社会のセキュリティを守るために多くの費用が必要だったが、地域社会が安定すると、セキュリティのためのコストが大きく下がったという。さらにダーボン社は、農民たちに対し、ダーボン社の正社員と同等の社会保険・医療保険を提供しているという。
さらに、オーガニックな農業にも取り組んでおり、土壌作りのために、パームの房や油の糟、さらに牛糞を利用して堆肥を作り、それを循環させる取り組みも行っている。モノカルチャー、換金作物生産に対する批判もあるが、やり方さえ間違わず、自然の恵みを生かしていけば、パームの生産も問題なく続けていける、というのがダーボン社の考え方だ。
森林伐採について聞いてみると、コロンビアには、放牧地がたくさんあり、森林の伐採は一切行っていないという。「政府は、土地配分までは考えたが、その後でどうしたら良いか分からなかった。我々がその解決法を与えた。」とカンポス社長は胸を張った。さすがに、ECOCERTが絶賛するだけのことはあると思った。
Las Pavas事件(次頁)
カリマンタンにおけるプランテーション開発/BIN (中間報告 Vol.7)
サラワク州におけるプランテーション開発と先住民との関係/FoEジャパン(中間報告 Vol.5)
ボルネオ島のプランテーション開発/BCTジャパン (中間報告 Vol.4)
パームオイル代替オイルの可能性/バイオディーゼル燃料編 (中間報告 Vol.3)
パームオイルの流通現場からのヒアリング (中間報告 Vol.2)
パームオイルに関する政策提案の試みからリサーチ・ユニットへ (中間報告 Vol.1)
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