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オーストラリアのコミュニティバンク 

コミュニティセクターに投資する

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飯野陽子 オーストラリア
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2004-08-15
 

コミュニティ・セクター・バンキング

 C21とは、NPO団体などのコミュニティセクターが、その資金運営において自らイニシアチブを取ることを目指して設立した株式会社である。C21に参加できるのはNPO団体に限られていて、出資は一口1ドル500口以上からとなっている。約20の参加団体はアクセス・コミュニティ・グループ(雇用機会や起業に関するサービスを提供している地域団体)、スコープ(メルボルンを中心とするビクトリア州で、障害者に様々なサービスを提供する非営利団体)、ユース・アコモデーション・アソシエーション(ニューサウスウェルズ州でホームレス及びホームレスに陥る危険性のある若者たちへのサポートと住居支援)、聾盲者協会、オーストラリア公共サービス評議会、全国の雇用関係のNPO団体のピークボディであるジョブ・オーストラリアなど、オーストラリアの主だったNPO団体である。

 C21は、コミュニティセクターのニーズに対応するために、コミュニティセクター自らがプライオリティや方向性を決定していけるような金融機関が必要であることを認識していた。しかし、C21の限られたリソースでは独立した金融機関を設立することは不可能であった。そこでベンディゴバンクとのジョイントベンシャーによってコミュニティセクター・バンキングを立ち上げ、ベンディゴバンクと協同でNPO団体などのコミュニティセクターが必要としているサービス提供を進めていこうとしている。例えば、ベンディゴバンクと共にNPO団体の経営管理のプロセスを見直していったことで生み出された総合資金管理口座、従業員経費支払いカードなどはNPO団体に限定されたサービスである。

 コミュニティセクター・バンキングは特定の地域におけるサービス提供を行うコミュニティバンクと異なり、地理的に限定されず、コミュニティセクターの団体、グループを対象にしているのが特徴である。顧客との取引は主にベンディゴバンクのオンライン及びテレフォン・バンキングを通じて行われる。窓口のおいての預金、引き出し、ローンに関する問い合わせなどはベンディゴバンクやそのコミュニティバンクで行うことができる。コミュニティバンク・モデルと同様、コミュニティセクター・バンキングの利益の半分はC21のシェアホルダーである各NPO団体に配当として分配され、その活動の資金源となり、コミュニティに再投資されていく。

 今までNPO団体、小規模な地域団体やボランティアグループといったコミュニティセクターにおける資金運営は、主に様々な政府機関からの資金提供や企業、個人からの寄付に頼らざるを得なかった。近年オーストラリアでもグローバル経済の発展に伴い、経済合理主義がコミュニティにおける福祉サービスの質を低下させている。そんな中でコミュニティ全体の利益にフォーカスをおいたコミュニティセクターのNPO団体、グループが資金提供を待っているのではなく、自らが提供する側に立っていこう、という試みがコミュニティセクター・バンキングである。

 民間セクターとコミュニティセクターのジョイントベンチャーは今までその可能性が十分に発揮されることはなかった。コミュニティセクターが真の意味で影響力を持ち、持続可能なサービスを提供していくためには、民間及び公共セクターとの相互支援による新しい形での対等なパートナーシップを繰り広げていくことが望まれるだろう。


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