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ワーキングマザーや大学生の母親を支援する環境が整っているアメリカ。実際に1年間、ネブラスカ州リンカーン市にある大学付属のチャイルドケアに勤めて気付かされたのが、政府、会社、学校、そしてチャイルドケアが密接に連帯して運営されているという事。日本では珍しい保護者と子供の密接な関わりは、育児業をサポートするアメリカの社会制度があって始めて成り立つ。チャイルドケアの先進国と言われるアメリカの背景にある、州や大学からの援助、会社からの特別育児休暇制度、そして大学側の取り組み等をリサーチした。
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まずアメリカのチャイルドケアで目にする光景で日本と大きく異なるのが、子供を送迎する保護者のうち3割程度が父親という事である。私が勤めるチャイルドケアでは、送りは母親、迎えは父親、またはその逆というパターンが大多数である。送り迎えの両方を毎日任されている父親も少なくない。両親揃って子供を迎えに来るシーンもよく見かける。
生後6週間から幼児を受け入れる私の勤務先では、多くの母親が会社や大学の昼休みを利用して子供に母乳を与えにやって来る。その為に会社側が特別に長めの昼休みを許可する場合も珍しくない。
昨年7月、チャイルドケアから徒歩10分のミュージアムに遠足に行った時の事。これに同行するため、会社から数時間の休憩を取る父親がいたのには正直感心させられた。しかも保父母の付き添いは任意なのである。また、子供の誕生日に親が1日仕事を休んだり、又は早引けするのも珍しくない。このような理由で職場が子供を持つ社員に特別許可を出し、気楽にチャイルドケアのイベントに参加出来る雰囲気が作り出されているのは、アメリカ社会全体が抱く家族観が一般的に常識として受けいられているからだと思われる。
もちろんこの背景には、アメリカ人夫婦の大半が共働きで、家事・育児を平等にシェアしているという事実が挙げられる。最新の統計によると、2歳以下の子供を持つ女性の6割以上がワーキングマザーで、更に子供の年齢が上がっていく程、母親が労働力に参加する率も増していく。
今まで私が目にしてきた限り、日本の幼稚園・保育所に子供を送り迎えするのは大抵母親、または母親の義務と思う人が大多数だと思われる。また、日本社会独特であるアフター5の飲み会、接待、残業は、日本の父親が夕方に子供を保育園・幼稚園に迎えに行ったり、帰宅したりするのを遮る根源である。こういった日本社会に根強く残る会社のしきたりが、日本の母親が家事育児の全般を任される原因の1つである事は間違いない。
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もう1点、アメリカの育児事情を語る際に忘れてはならないのが、育児、仕事に加えて学業もこなす母親達である。アメリカでは、高校・大学在学中に子供を生む女性、または出産後に学業に携る女性の割合が日本より多い
特に私が勤めたチャイルドケアは州立大学付属である為、育児と学業を両立する母親には数々の特権が与えられる。例えば、大学生の母親を持つ子供は、そうでない母親を持つ子供より優先的にチャイルドケアに入る事が出来る。また、学校の宿題、試験勉強、又は仕事の為に子供の面倒を見る事が出来ない場合、チャイルドケアに勤めるスタッフを自宅に呼んでベビーシッターをしてもらう事も容易に出来る。こういった、チャイルドケアが学生の母親に提供する密接な支援は、ワーキングマザーが年々増加しているアメリカならではだと思わざるを得ない。
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