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オーストラリアの女性起業家 

-世界の女性起業家シリーズVol.1-

leader from from
飯野陽子 オーストラリア
day
2003-05-17
 

 GEM2002のオーストラリア報告書は、オーストラリアは'Enterprise Culture'に欠けている、と指摘している。意外に保守的な面もあり、新しく意外性のあるアイデアが受け入れられにくいそうだ。またオージーを描写するとき出てくるのはeasy-goingやlaid-back(のんびりした、のんきな、という意味であるが、lazyの持つネガティブな意味はない)といった形容詞だ。オージーとの会話でよく出てくる"No worries""She'll be right"(大丈夫、なんとかなるよ)といった表現はそんなオージーの特徴がよく表れているが、起業においてはリスクを犯すことを嫌い、コンフォートゾーンに温存してしまう、というマイナスな面に働いているのかもしれない。

 起業すること自体には肯定的であるが、大きな利益を得ている起業家には78%のオーストラリア人が否定的である。時々人や行為が'un-Australian'(オーストラリアらしくない)という言い方をされることがあるが、ビジネスにおいてビジネス哲学に徹し、回りを顧みず短期間でリッチになっていく起業家・事業家の'ステレオタイプ'はオーストラリアらしからぬ、のであろう。

・・・


 起業心(Entrepreneurship)の定義として'新しくユニークな機会を生かした事業で迅速な利益の拡大を達成しうる、または利益拡大を目的としたビジネス'、といった記述が多く見られ、利益が強調されている面で正しい定義とはいえないかもしれない。起業はただ単に短期間にリッチになることでも、生まれながらの野心家のみがなし得る事業ではない。

 それは利益の拡大が目的でないこともある。'Enterprise Culture'はビジネスや企業に限らず、独立心や冒険心を持つ'life'そのものへのアプローチとしてとらえることが出来るだろう。initiative、flexibility、creativity、independence、leadershipといった価値観を奨励していくことで'Enterprise Culture'というものを育んでいけるものと思う。

 女性たちは起業の成功を金銭的・経済的な意義付けよりも自分個人の幸せと照らし合わせて考え、オーストラリアの女性起業家の満足感は一般に男性より高い。また女性ビジネスは拡大型でなく、仕事と家庭などの生活のバランスを考えて意識的に拡大していかない傾向がある。現存のどこまでも拡大していく利益中心のビジネスの成功という〈ものさし〉を変え、持続可能な経済のあり方示していくきっかけになっていけば、と思う。

 多くの女性にとっては、起業は独立と自由を手に入れるためのライフスタイルにおける選択である。それは、決して物質によって満足されない生活のクオリティーの向上、そして本当の意味での'豊かさ'を求めるポストモダンの動きにつながっている。

 大企業やマスコミが押し付けてくる女性のニーズではなく、女性が自分自身や回りの家族や友人たちの、そして地域においての生活の質の向上しくためのもっと地に足をつけた'ニーズ'を女性が自分たちで満たしていく-女性たちが起業し、自分たちの存在が回りの人たちや地域において意味を持ち、ポジティブな変化をもたらすという可能性を認識していくこと、は今日の資本主義のグローバリゼーション化の中で少しのHopeを与えていくかもしれない。

- この記事は、 WWB(女性のための世界銀行日本支部)の奥谷京子さんからの依頼で作成しました -


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