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1.屋上緑化の現状
この数年ビルの屋上を緑化することが話題に上っている。東京都では「東京における自然の保護と回復に関する条例」を改正して、2001年から一定規模(敷地面積1,000平方メートル以上)の建物について屋上を緑化することを義務づけた。
東京都の目的は、ヒートアイランド現象の緩和である。緑化が推進されるように、規模に関わらずビルを建設する人に対して固定資産税の減額、容積率の緩和、助成金の支給などの優遇措置も併せて準備した。このため新しく建てられたビルでは屋上が緑化されていることが多い。
従来、屋上は給水タンクやエアコン室外機の設置場所として使われてきた。重要施設では通信設備やヘリポートが設置されている。温水や太陽光発電の設備が置かれているビルもある。デパートでは庭園と喫茶室を併設したり、遊技施設が作られたりしている。そこにはこれまでも、植木鉢やプランターによる緑はあった。
しかし現在の屋上緑化は植木鉢やプランターを置くのではなく、屋上に土を入れてそこで植物を育てるというものだ。
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屋上緑化の方法は様々で、模索の途中という印象である。一般的な方法は、まず屋上に防水工事を行い、植物の根で建物が傷まないように防根工事を行う。さらに排水口を拡張し、屋上で水があふれないようにする。特に近年では一時間に100ミリを超える豪雨があり、排水対策は重要だ。こうした工事はしっかり行っておかないといけない。土を入れたあとにトラブルが生じたら、最初から作り直すという大変な手間がかかってしまうからだ。最後に土を入れて植物を育て始める。屋上庭園では、草花はもちろんのこと、野菜や果樹、水田も作られている。
緑化されているビルには、大企業や役所のビル、学校、コミュニティ・センターそして個人住宅まで様々なものがある。最近になって屋上を緑化することが注目され始めたのは、東京のヒートアイランド現象が年々深刻になっているからである。
東京の年間平均気温は、過去100年間で約3度上昇し、特に昭和の高度成長期(1960年代)以降顕著になっている。この間に日本全体の平均気温も約1度上昇し、この差である約2度がヒートアイランド現象によるものだと推定されている。
屋上を緑化することは既に1980年頃には専門家の間で検討されていた。しかしどの程度の効果が見込まれるのか不明だった。近年、コンピュータによる気候シミュレーションが発達し、ようやく定量的に扱えるようになってきた。
現在はシミュレーションの際に必要とされる基礎データを得るために屋上庭園を試験的に作り、温度などを測定している状況である。とは言うものの、既にヒートアイランド現象が深刻化している以上、科学的に不明確な部分があっても推進しているというのが現状だ。
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では、屋上で生育可能な植物とはいったいどんなものだろうか。屋上は風が強く、夏は暑く乾燥した環境のために、草花はすぐに枯れてしまうような気がする。実際に屋上を緑化している人々に聞いてみた。
すると意外な答えだった。どんなものでも屋上で育てることができるというのだ。もちろん東京という気候に合わない植物はだめだが、東京の地上で育てることが可能であれば屋上でも可能なのだそうだ。ただし土をしっかり作らなければならない。土が屋上緑化の成否を握る重要なポイントであるようだ。 (つづく)
東京の空中庭園 Vol.3
東京の空中庭園 Vol.2
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