reports

LIFE STYLE

back
prev_btnnext_btn
title

ナチュラルハウスを創る Vol.10 ~ついに屋根が ~

leader from from
小井沼有嗣 アメリカ
day
2007-07-23
 

[できかけの屋根]

 2003年に入り、できかけの家に引っ越してから6ヵ月以上たちましたが、電気、水道、トイレ、暖房など、何もない状態から始めたので、まず必要最低限のものを確保しなければならず、建物そのものには関与しない作業が続きました。

 なので、ここまできても肝心の屋根がまだ完成していません。 枠組みはできていたので大きな防水布を張ってしのいでいましたが、強風が吹くとすぐに巻き上がってしまうし、雨もちょっと強く降るとすぐにあちこちから雨漏りし始め、家の中のものが濡れてしまうことが続いていました。 せっかく壁の保温性が高くても屋根がなくては室内の温度は屋外と同じ。 いくら暖冬のテキサスとはいえ、暖炉で薪を焚いても、そのすぐ横に座っていないと体が冷えてしまう日も多かったのです。

 話が前後しますが、前年8月から妻は高校の教師として新しい仕事を始めていました。それまで実際に家のデザインや材料の購入を担当していたのは彼女でしたので、彼女が仕事に追われて忙しくなると僕だけではなかなか作業を進められない問題が生じていました。壁づくりなどすでに着手していたエリアではコツコツと建築を進めていましたが、屋根などの大きなプロジェクトへはとりつきにくい状態でした。

 そもそも屋根は建築の中でも一番難しいとされている分野で、もちろんかなり危険もある作業ですし、アメリカの建築業者でも屋根だけは屋根専門の業者に頼むことが多いのです。 またその材料も色々な種類があり、安いアスファルト製の瓦から金属性のもの、もしくは色々な材料をリサイクルしたものを混ぜ合わせたもの、とたくさん選択肢のなかから、この時点まで、どれにするのかまだ決めかねている状態でした。 悩みに悩んだ挙句に我々が選択したのは、白い塗装を施した金属製の屋根でした。 この屋根の利点としては、

・白い塗装と金属の表面が光を反射するため、家の中が比較的温まりにくい(この地方では夏の猛暑対策が一番重要なので)
・金属は瓦と比べると値段は高いけれども、その分長持ちするし、丈夫であるということ
・金属の屋根を使って雨水を集めることができること(アスファルト製のものではこれができない)
・金属は使用した後リサイクルすることが可能であること
 などがありました。 

 さて、方向性が決まり、いざ屋根を発注することになりましたが、これまた業者の反応が鈍いため注文してから材料が実際に届くまで数週間かかりました。 また屋根は実際に家の上に設置されるまでは濡れてはいけないということだったので、取り付けるまでの間、家の一階に長い金属板を保管しなければなりませんでした。 取り付け作業は一人でできる作業ではないのですが、業者に頼む予算もないので週末にしなければならず、その週末に雨が降ってまた次週に持ち越すなど、材料が到着してからもさらに数週待たなければなりませんでした。

[屋根の部品が家の中に]

 ようやくチャンスが訪れたのはその年の春休み、2月半ばでした。 妻の学校が一週間春休みになるのを利用して屋根をつけようというプランでしたが、最初の2、3日間の後はまた雨が降るという予報でした。 取り付けの途中で降られると塗装されてない部分に水分がつき、屋根が錆びてしまうということなので、大急ぎで作業をしなければなりませんでした。

[もう少しで完成!]

 屋根の設置といっても物理的には難しいプロセスではありません。 金属の長い板を端から順番に専用のネジで屋根の上に設置していくのです。 金属とはいっても薄い板ですから手を切らないように気をつけながら2人で屋根の上へ押し上げ、一番上を締め金で留めておいて角度を修正し、一つ一つネジを入れていきます。 難しかったのは、うちの屋根は角度が45度近く、立つことが危険だったということ。 長い梯子を使っての作業でしたが屋根をこすって塗装を剥がしてはいけませんから非常に神経を使いました。

[取り付け中。 実際に屋根の上での作業は全部僕が一人でしましたが、妻もちょっと上ってみました]

 最初の2日間の後は雨が降るらしいということなので早朝から日暮れまで休まずに延々と作業した結果、2日目の夕方遅く、ついに屋根は雨に降られてもいい状態にまでできあがりました。 何ヶ月も雨漏りに悩まされたり作業が遅れたりと気苦労の根源だった屋根がついに完成した時には妻と2人で嬉し泣きしたものでした。 建築を開始してから2年近く。 屋根が完成したことにより、我が家も外側から見るとようやく一人前の家らしい風貌になりました。(つづく)

[ついにできた屋根]


ナチュラルハウスを創る Vol.12 ~子育てと生活環境 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.11 ~人生は待ってくれない ~
ナチュラルハウスを創る Vol.9 ~ないものづくしでも ~
ナチュラルハウスを創る Vol.8 ~屋根の枠組み~
ナチュラルハウスを創る Vol.7 ~コブの壁 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.6 ~土台~
ナチュラルハウスを創る Vol.5 ~家の置き場所 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.3 ~コブハウスとは ~
ナチュラルハウスを創る Vol.2 ~コブハウス・ワークショップでの体験 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.1 ~日本人オーナー・ビルダーがテキサス州で面した現実 ~

このエントリーをはてなブックマークに追加





クリエイティブ・コモンズ メンバー募集 メルマガ 受託型リサーチ レアリゼブックストア サポーター募集 twitter mixi face Flickr