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ナチュラルハウスを創る Vol.11 ~人生は待ってくれない ~

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小井沼有嗣 アメリカ
day
2007-09-02
 

 2003年春、ちょうど屋根がついたのと同じ時期に妻、Terriが妊娠しました。

 この時僕は29歳、妻は28歳でした。たくさん子供が欲しいと思っていた我々は、この時期に子づくりを始めないと後でまとめて産むというわけにはいかない、と考えたわけです。そもそも田舎に土地を買って建築を始めたのも、お金をかけずに大きな家族を育める環境をつくりたいと思ったのが理由の一つでした。といっても、家はまだ一階の床もなければ(砂利状態でした)お湯もでないし、壁も塗っていないので藁がむき出しという状態でした。

 子供が生まれ妻が働けなくなるのを締め切りとして頑張って建築を終わらせてしまおうというのが我々の考えでした。 

 まずとりかからなくてはいけなかったのは壁を完全に終わらせること。 屋根は壁に乗っていましたが、壁は屋根の枠組みを支えているだけで一番上の部分、枠組みとの間は大穴があいたままでした (写真を参照)。 冬の間はおかげで暖炉に火を入れても室内がちっとも暖かくなく、北風が直接吹き込むという有様で、寒い日には暖炉のすぐ隣に座っていないと体があたたかく保てないという日もありました。

[ 屋根下の壁をつくる友人たち ]

[梯子を並べての作業]

 壁も上の方は、梯子に登っての作業になりますから、仕事の速度はのろくなります。 上へ行くほど壁も薄くして良い(下部ほど重みを支える必要がない)のですが、何事でも仕上げの作業は、その段階に到達するまでの作業と比べて非常に時間がかかります。 何度かワークショップを開催して人を集め、仕事をはかどらせようとしましたが相変わらず助けになる人は集まらず、ほぼ自分たちでやらなければなりませんでした。

 外壁の後は、室内の仕事です。 まず最初に棚と、食卓として使うベンチを作りました。 コブの利点はこういった生活機能を壁に直接付けることにより、小さいスペースも有効に活用できることです。

[できかけのベンチに座るTerri]

 ベンチの下にはスペースを開けておいて収納庫としても使えるようにしました。 このベンチ最大の特徴は、妻がベッドとしても使えるようデザインしたことです。 我々が前年寝泊りしていたキャンピング・カーからアイデアを借りました。 普段はこのベンチの形に合わせて木材を切って作ったテーブルを使うのですが、テーブルの足を取り外しできるようにし、板をベンチの真ん中に並べることによりベッドになるようにしたのです。

[ベッドとしての寝心地も試してみているところ]

[棚の一つ]

 秋には壁も塗りました。 塗る材料は、粘土と砂に水と糊を混ぜただけの自然からとれるものだけです。 安価で安全なので誰にでもできますが、コツがないわけでもありません。 一回一回手で材料をくみ取って投げつけるように壁につけ、その後で手や平たい道具(しゃもじが大好評でした)で表面を平らにします。内壁は3回塗るのですが、一回ごとに砂をより細かくサラサラなものにし、表面が滑らかでスムースになるようにしました。

[壁を塗っているところ]

 そうしているうちにあっという間に月日はたち、、12月半ばに妻は元気な女の子を出産しました。 助産婦さんを頼んで自宅でお産しましたが、産まれたのは上記のベンチ兼ベッドの上でした。 生活環境は改善されつつありましたが、まだ床は砂利状態、お湯も一々沸かさなければないという状態でした。

[寝ている妻と娘、真里恵。 横には塗りかけのベンチの表面が見えます]

[僕と娘。 後ろに塗りかけの壁]

 しかし、無事にお産の終わってホッとしたその直後、恐ろしいことがおこります。 生まれてちょうど一週間後、僕の不注意から火事をひき起こしてしまいました。 手伝いにきていた母と2人で買い物にでかけている途中、電話で妻から報せを受け、慌てて帰りましたが、通りから見えた巨大な煙の柱の光景は今でも目に焼きついています。 

 火事といってもコブの家ではありません。 何が起こったかというと、当時うちは暖炉の灰を燃え残しがないよう確認してから外に捨てて処理していたのですが、僕がまだくすぶっていたものを気付かずに捨ててしまい、強風にあおられて野火になったのです。 幸いなことに消防車がすぐにかけつけてくれたので燃えたのはうちの土地の表面だけでした。 大きな木々に被害はなく、また隣近所にもあまり影響なくすみましたが、家や人に被害が及ばなかったのは全く幸運であったとしかいいようがありません。

 自分の間違いで焼け野原になってしまった土地を見ながら、僕は自分の疲労とストレスがピークに達していたことを認めざるをえませんでした。

[お産直後の家。 焼け野原の写真はありませんが、家の右の方に焦げた地面が垣間見えます]


ナチュラルハウスを創る Vol.13 ~二軒目の小屋 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.12 ~子育てと生活環境 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.10 ~ついに屋根が ~
ナチュラルハウスを創る Vol.9 ~ないものづくしでも ~
ナチュラルハウスを創る Vol.8 ~屋根の枠組み~
ナチュラルハウスを創る Vol.7 ~コブの壁 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.6 ~土台~
ナチュラルハウスを創る Vol.5 ~家の置き場所 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.3 ~コブハウスとは ~
ナチュラルハウスを創る Vol.2 ~コブハウス・ワークショップでの体験 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.1 ~日本人オーナー・ビルダーがテキサス州で面した現実 ~

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