2005年初頭、子供も一歳になり、本格的に動き始めると、我々の小さな小屋ではハイハイするスペースもなく、この先ますます困ることになるのは目に見えているので、一軒目もまだまだ完成とはいえないところで、あえて二軒目に着手することにしました。
もともと我々のビジョンは、一軒の大きな家を建てるのではなく、数件の小さな小屋を建てるというものでした。 一軒目はいわゆる「練習用」の小屋で、建てるのに一番最適なスポットは、二軒目の、より大きく、メインになる建物のためにとってありました。 ないものづくしの原始生活や小さな小屋での子育ては、我々がそれをしたくて挑戦したわけではなく、一軒目の小屋に予想よりはるかに膨大な時間と資金がかかったためにやむを得ずそういう事態になったわけで、我々としてもやはり家族を育むのに必要な大きさの家を建てようとはもともと考えていました。 子供の方は予定通り(?)できましたので、ここで頑張って建築の方が追いつかないといけない、と考えたわけです。
さて、二軒目の小屋ですが、小屋といっても一軒目の二倍の大きさで、妻はそのデザインはすでに暖めていました。 一軒目で体験した教訓もありますから、最初と比べると能率よく建築が進むだろうとは考えていましたが、それでもコブでは時間がかかりすぎるかと考えた我々は、二軒目はストローベイル(Strawbale)の建築でいくことにしました。
ストローベイルとは、こちらの農園で作る長方形の藁の束を積んで壁にするやり方で、コブと違い従来の四角な家が建ちますし、木材などで枠組みも作るので普通の建築方法に近く、より普及が進んでいる建築方法です。 オースティン市内でも数件建っており、法律や規定の中にもストローベイルが考慮されている地域もあります。 またその進行速度はコブとは比べものにならないほど速く、コブでは壁を作るのに何週間もかかりますが、ストローベイルは材料を揃えて(家の規模にもよりますが)2、3日で一気に作ってしまいます。
「そんなに簡単ならなんで最初からそれにしないんだ」と指摘されそうですが、ストローベイルの場合、従来の建築方法に近く、専門知識も設計の段階からそれなりに必要ですし、失敗したらやり直しがきかないわけで、素人でもデザイン、建築ができて、やり直しのきくコブの方がよいだろうと我々は最初に考えたのです。
というわけで2005年春、我々は二軒目に着手しました。前回と違い、今回は自然から直接とれる材料にこだわらず、スピード重視でアプローチすることにしました。 例えば土台は掘り方は前回と同じですが、大きな石ではなく、コンクリートで土台を作ることにしました。 コンクリートの土台の場合、それを流し入れる枠を正確に作らなくてはいけないし、失敗はきかないのでより慎重に進めなくてはいけませんが、運良くその方面で経験のある妻の伯父が手伝いに来てくれることになりました。 彼が5月に一週間休みがとれるというので、我々はまずその時までに土台作りの下準備をしました。

[ これが二軒目の土台が入る直前です。 下準備として、まず土台をほり、砂利を入れ、その上に水道や汚水用のパイプを設置します。仕事の合間での作業なので、開始からここまで三ヶ月

[砂利を平らにしている妻Terriとその伯父Jerry]
コンクリートの土台は、一般的には家全体を支えるよう一枚板のように作るのが常套ですが、それではコストもかさみますし、このタイプの土台は割れてしまう可能性が高いので、我々は壁だけを支えるよう外側に輪のように作ることにしました。 その代わり、下に砂利があるので大地が動く(例えば粘土質の高い土地では雨がふると土が伸縮し、これが土台が割れる原因の一つになります)影響を受けにくいですし、その土台の中に段ボールのチューブを垂直に埋め入れ、その中にコンクリートを流し込むことにより主な支柱の下に「足」をつくり安定性を高めるようにしました。

[コンクリートを流し込む枠組みを作っているTerriとその母Darlene]

[土台にコンクリートを流し入れているTerriとその妹Toni]

[積み上がったストローベイルと、できかけの屋根。]
さて、準備が整ったので「壁上げ」(wall raising)をすべく、10月のある週末、人を呼んで建築パーティーをすることになりました。 コブ同様ストローベイルには熱心なファンがいて、各地の壁上げに参加して歩く人もいるほどです。
というわけで2005年は新しい建物づくりに費やしたわけですが、要所要所での作業は順調に進み、一軒目と比べてはるかに能率的に作業は進みました。しかし子供連れのため一人での作業も多く、仕事との両立からやはり決して短期間で建てるというわけにはいきませんでした。
また、2001年以来二人でパートタイムの仕事をお互いにやりくりして生計を立ててきましたが、子供が大きくなってきて妻が子連れで働くのは難しいこと、まだ二人のパートの仕事を足しても一人のフルタイムの仕事分の収入にはならないなどの理由から、秋には僕がウェブマスターとしてフルタイムの仕事に就いたのをきっかけに、妻が専業主婦になることにしました。 この生活環境の変化は生活全体をより潤すことになりましたが、建築に関してはより大きな障害になることになります。 まだまだ将来の見通しは立たないというのが現実でありました。